2012年3月10日土曜日

Googleとプライバシー保護の衝突

Googleの神通力の源をずばりいうなら、初めてGoogle検索が世に登場した時の検索結果の精度の高さであろう。
もっというなら、その時に世の中の人が感動した記憶である。
Google検索が登場するまでの検索といえば、検索結果のページを5ページ、10ページと見ていっても求める情報がないことがざらだった。ものの役に立たない。
ところがGoogle検索なら検索結果を上から5つも見れば探し求める情報がまず載っていたのだ。これに感動しない人などいなかったんじゃないか。

その後もGoogle検索の有用性は維持されており、致命的な不祥事も起こしておらず順調だった。
しかし、ここ数年かなり重大な問題を起こしだした。そう、プライバシー関連に対しての問題だ。
Googleの唱える情報公開の精神とプライバシーの保護は衝突しやすい。
Google Earthで建物の屋上で日向ぼっこしている水着の人が上空から撮影されて、インターネット上にそれほど鮮明でない小さな画像で掲載されていた程度までなら笑い話で済んだが、Googleストリートビューのプライバシー侵害になるとそうは言っていられない。
被写体が知らないのに場合によってはとんでもない状態が撮影されて、それが世界中に向けて公開されているのである。たまったものではない。
社会問題化して後日画像削除が依頼できるようになったが、これはせめてGoogleストリートビュー公開当初からその画面上で容易に掲載画像を削除依頼できるようにしておくべきであった。当初からどんな問題がどの程度起こるかが予測できておらず、被害者に対して容易な解決方法が用意されていなかったという点が特に重大なのだ。

そして、この度の個人情報一括管理である。
産経ニュース記事を1つリンクしておこう。
「 波紋広がるグーグル個人情報一括管理 SNS台頭に焦り」
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120308/biz12030822040039-n1.htm

GoogleがYouTubeを買収した後、GoogleとYouTubeアカウントの強制的な紐付けにも個人的に辟易したものだったが、今回はその比ではない。やらかそうとするGoogleの影響力の大きさに各国政府が懸念を表明するほどである。
このGoogleが一括して管理する情報が万一流出したらとんでもない事態になることが容易に想像できる。取り返しがつかないのだ。極端な例を挙げると、アーティストの福山雅治が仮にホモ雑誌やSMスカトロDVDを買っていたとしてそれが世間に知られたら大騒ぎになるだろ?
絶対完璧な情報保護が必要だ。世の中絶対はありえないのだが・・・。

欧米の人生に成功した人達、つまり名声も財産も持つセレブが究極的に求めるものは平穏な生活なのだそうだ。下世話な庶民に自分達の生活を覗き見られたくないわけ。プライバシーが完全に保護されるならどうせ有り余っている財産だ半分になってもいい、とまで言う人さえいる。プライバシーとはそれほどの価値を持つ。

神通力の源が世の人々が感動した記憶であるなら、記憶はたいていいつか薄れていくものであることに注意せねばなるまい。そして、そのような神通力は何かやらかす度にさらに目減りしてしまうのだ。
私はGoogleがマイクロソフトのOS独占をいつか突き崩してくれないかと長年期待している。しかし、そのGoogleが第2のマイクロソフト的な横暴な企業になってしまっていたら意味が無い。
貴重な企業だ。どうか経営の舵取りは慎重に頼みたい。